ある事情から顕微鏡が必要になったためAmazonで手頃な顕微鏡を検索。予算的には高くても2万程度、ただし最低500倍ぐらいの倍率を持っているもの。
安い顕微鏡だと子供の学習用で数千円程度から1万程度のものがあり、プロジェクター機能やLEDライト、観察用キットがついているものもあり楽しそうだが、レビューを見ていると作りがちゃちだったり倍率が上がると調整が難しい等難点も多い様だ。良い物だと4万以上と高くなってしまい、中間層の丁度よさそうなものがなかなか無い。
最終的にミザールのML-1200顕微鏡を購入した。2万3千円ぐらいで、LED光源もなくメスやプレパラート、薬品等の付属品もないが、レビューが良く作りがしっかりしており1200倍までの倍率があり、高倍率でのピンと合わせもやり易くメカニカルステージも付いているらしい。特にメカニカルステージが気になった。
届いてみると、レビューにあった通り、味気はないが学校の理科で使った事がある様なしっかりした作りをしており、1200倍の倍率でも難なく対象物にピントを合わせる事が出来た。対象物の位置を微調整できるメカニカルステージも便利で、「本当に1200倍になってる?」と思うほど高倍率でも簡単に対象物の見たい所が見る事が出来、この顕微鏡にして正解であった。
さて、このままでは面白く無いのでArduinoを使って少し改造を加えてみる事にする。
改造ポイントは、LED光源が無いのでLED光源の追加と、メカニカルステージ電動化である。フォーカスも電動化しようと考えていたが、フォーカスは指でやった方が良さそうなので見送った。
まずはLED。以前NeoPixelというカラーLEDのリングを購入していたので、こちらを取り付けてみる。NeoPixelは複数のカラーLEDを信号線1本で個別に明るさ・色を調整できる便利な代物である。最初リング状態のままステージ下に上向きや下向きに取り付けてみたが、上手く光が入らないうえ24個のLEDはかなりの電力を食うため、一つだけ切って使う事にした。
一つでも十分明るい。3Dプリンターでフレームを作り、LEDを取り付け拡散板で上からカバーする。これをステージの下に取り付ける。
Neo pixelはRGBを微調整できるので、明るさに加え色も自由に調整する事が出来る。
次にメカニカルステージのつまみ2つをモーターで回す様にする。モーターには小型ながらメタルギアによる減速比1:100のステッピングモーターを使用。ステップ角1.8度なので0.018度の細かさで回転を制御する事が出来る。これをさらにA4988のステッピングモータードライバーで16マイクロステップで駆動させる。
3Dプリンターで調整つまみとモーター間のカプラーと、取り付け用のフレームを作成し、取り付け。このモーターはかなり熱くなるので(触るとやけどするくらい)、ホームセンターで購入した穴開きアルミ板でカバーも作成。
モーターの操作はArduinoの学習キットについてきたアナログスティックを使用。ステックのプッシュでモーターの移動量切り替えとLEDの調整モードを切り替えたいので、状態が分かる様にI2C通信で簡単に使えるOLEDディスプレイも取り付け。
制御にはArduino Nano互換品を使用。回路は横着&改造・拡張・修理・再利用し易い様にブレッドボードで組んでそのまま3Dプリンターで作ったケースに下からはめ込み。電源は12V1Aの安価汎用アダプターをネジターミナルのDCジャック経由でArduinoのVINに接続。
両面テープで貼り付け完成。Arduinoと昨年春に導入した3Dプリンターにより工作レベルがかなり上がった。
Arduinoでハードの事はあまり知らなくても簡単に電子工作ができてしまうし、欲しい形状のパーツが高精度で作れるので思った通りの工作が短期間で出来てしまう。素材も安い(電子パーツは中華から購入、使っている3D用素材は1kg 2000円のABSフィラメント)。
アナログスティックを倒すとモーターが回りメカニカルステージが動く。スティックの倒し具合で移動速度が変わり、スティックを押し込むとベースの移動量が切り替わる。これにより1200倍でも安定して微量ずつ対象物の位置を調整出来る様になっている。メカニカルステージのつまみは逆回転にする際に少し遊び(バックラッシ)があるので、回転を反転する際は遊び分高速で早回しする処理も入れている。
LEDの調整もアナログスティックで、明るさ調整と色味を変更できるようにした。これで顕微鏡ライフが少し快適になった。
とりあえず改造はこれで一旦満足。Arduino制御なのでUSB接続でPCからモーターやLED制御する事も可能なので、フォーカスもモーター駆動にしてWebカメラも取り付けて完全にPCから制御する事も出来そうである。