記事を書いている時点で既に2台のプリンターを組み上げているが、3Dプリンターは組み上げ2割、調整8割で組み上げよりいかに調整するかの方が重要であり苦労した。
購入した2台とも基本はほぼ同じだが、細かい点でパーツが異なる。困った点で共通していたのは
「組み立てや調整の説明がほとんど提供されていない」
と言う事だ。いずれの業者も幾つかの資料と動画ファイルを提供してくれたが、途中のポイントのみでしかも中国語。動画で組み立てているモデルも微妙に送られた来たものと仕様が異なるのもので、参考程度にしかならない。インターネット上のデルタ型プリンターも似ているモデルの説明はあるが、細かい所でパーツが異なったりして不明な点が多い。
結局、提供してもらった資料1割、インターネットの情報4割、勘5割で「多分こんな感じだろう」で組み立てた。なんとかなったが。
パーツ自体は後から発注した業者のものが品質が良かった。業者による違いは
- パーツが成形タイプか3Dプリントしたパーツ
- メインボードが専用一体ボードとArduino+RAMPSシールド
- パーツ毎に個別箱入りと梱包ごちゃまぜ
- 質問に対する反応(どこの業者も出来るだけ簡潔に質問した方が回答が早い事が多い)
3Dプリンターは出来るだけ正確に組み上げる事が望ましいので、購入される際はパーツは成形タイプのものが良いと思う。今回購入したのは駆動部がベアリングタイプだが、リニアベアリングやリニアゲージタイプもあり、より高い精度を求めるのであればリニアゲージタイプが良さそうである(価格も上がるが)。
筆者が購入した色々と難ありの最初のストアは
http://www.aliexpress.com/store/1541115
後から購入した対応も内容もまぁまぁ及第点のストアは
http://www.aliexpress.com/store/1737229
ではあるが、下記別ストアの商品もパーツの出来が他と比べ良さそうである。
まぁ、中華系なので商品説明と実際に送られてくる物が同じとは限らない。注文する商品を探し出して無事届くまでのスリルも中国輸入の面白味の一つだと思うので、購入される際は是非自分で選定して購入して頂きたい。どうなっても筆者は何の責任も持たないが。
では、2015年5月時点のデルタ型プリンターの組み方を説明する。半分推測と勘で組んでいるので、間違っている点や数か月後にはパーツ改良により本手順と変わっている点は多分ある。2台目に組んだプリンターをメインに説明し、1台目に組んだプリンターも別記事で参考までに掲載する。2台目は1パッケージで届いた。箱は結構潰れていたが中身は無事だった。
デルタ型プリンターの組み立て時のポイントとして、精度を上げるなら組み立て時寸法をこまめに測り直角と距離を均一にする事。3本の支柱と素材の射出ヘッド部がメインの部分であるが、3本の支柱間の距離と垂直性、支柱からヘッドまでの距離を正確にする事がポイントである。まぁ、後から調整は出来るのであまり神経質になりすぎなくとも良い。
同梱物は以下の通り。
工具は一般的な下記工具と、ボールポイントレンチのセットを準備する。
- プラスドライバー
- マイナスドライバー(ネジターミナル用)
- プライヤー
- ニッパ
- ラジオペンチ
- ピンセット
- マルチテスター(DC電圧測定)
あると便利なものとして
- 熱伸縮チューブ
- ホットブロワー
- 2.54mmデュポン(QI) コネクター類と工具
- セラミックドライバー(モーター出力調整用)
- 精密ドリル(ノズル掃除用、0.2~0.4mm)
- 電動ドリル(ネジ通し用、2mm~4mm)
- デジタルノギス
- T定規、L定規
- 水平器
ボールポイントレンチは組み上げ後も微調整で頻繁に使用するため、品質の良い物を準備しておくと後々楽である。筆者はSK11の長めのレンチを購入した。
SK11 レインボーボールポイント六角棒レンチセット 9本組 SLBW09EL-RB
まずはベース部の組み立て。
Openbeam(以降ビーム)と呼ばれる棒が長いものが3本、短いものが9本入っている。念のため長短それぞれ長さが揃っている事を確認後、コーナー用パーツに取り付ける。コーナー用パーツは上下があるので注意。
取り付けは四角ナットとボルトをパーツに取り付け、ビームの溝に通した後締め付ける。三か所目のコーナーパーツを取り付ける際はナットをビームに入れておき、パーツを合わせた後ボルトを締める(結構面倒)。後からナットを入れる構造になっていない場合(ビーム端にナット挿入用の溝が設けてあるか、ナット自体が斜めにして入れられるなら良い)、制御基板、コネクタカバー、液晶パネル固定用のナットをこの時点で入れておく事。でないと後から再度ばらす事になる。
組み上げた後、各コーナーパーツ間の距離が均一か、平らな面に置いた際にがたつきがないか(平行になっているか)確認し、ずれていれば調整する。
上部の組み立て。同様にビームとコーナーパーツをナットとボルトで組み、各コーナーパーツ間の距離が均一となっている事を確認する。こちらもコーナーパーツは上下があるので注意。フィラメント押出装置を上部に固定する場合、ビームにナットを予め入れておくこと(後入れ出来ない場合)。
ベアリング2個をリングがある方を外側に合わせ、長いネジを使いコーナー内に固定する。ここをGT2ベルトが通る。
ステッピングモーターにプーリーを取り付けるが、プーリーの位置は上部のベアリングの位置と合わせベルトがまっすぐに通る位置に固定する。プーリー取り付け後ベース部にステッピングモーターを取り付ける。後からでもモーターは取り付けられるが、後になる程ネジ止めがやりにくくなる。(筆者はフレーム組立後に取り付けたのでやや面倒だった)
ステッピングモーターのネジ止めはベース部コーナー内部から止めるので、なかなか止めづらい。ボールポイントレンチを使い、レンチを通す為の溝があるので利用しながら締めていく。プリンターは動作中結構振動するので、レンチのL字部を使ってしっかり締めておく。
3本の長いビームをベース部に取り付ける。しっかりとベース部の奥まで挿しこんで固定する。上部はまだ付けない。
柱を上下する駆動部を組み立てる。この駆動部は良くバージョン変更されている様だ。ネジを通し、ナットを2つ締め、ベアリングを入れて、ナットで締める。支柱に通してみて、スムーズに通らないようであればナットを調整するか、ナットを一つ追加する(筆者の場合ナット2つだと支柱と擦れてしまいスムーズに動かなかったため、後で3つに増やした)。
支柱に対し締め付けるためのナットとボルトを通す。上部にエンドストップスイッチ押下用のボルトも止める。このボルトは後で微調整する際に回すので、1センチ程出しておく。とりあえず3つ共長さを揃えておくと良い。
これを3つ作成し、支柱に通した後横のボルトを締め付ける。上下にスライドさせてみて、スムーズに動かなければナットの調整や5-54やシリコングリス等を使ってスムーズに動くようにしておく。
ベアリングとパーツの距離が均一である事を確認し、ずれていれば調整しておく。距離にズレがあったり、上下にスムーズに動かない場合積層ズレやゆがみに繋がる。
エンドストップのスイッチを取り付ける。スイッチを固定用パーツにネジ止めし、ビーム上部に仮固定する。スイッチの方向に注意。駆動部に取り付けたボルトがスイッチの外側に当たる用にする。
配線はビームの溝を通して本体下側に通しておく(コネクターが外れていたが、配線を通すためにわざと外してあり「なんでコネクタ落ちてるんだ」と取り付けたら配線できなくて再度外す羽目になった。外す場合はピンセットを使うとよい)。
スイッチは計4つあり、3つが支柱に取り付けるエンドスイッチ、1つがヘッドのオートレベリング用のスイッチ。一つだけ形状が異なるか、配線が長いスイッチがあればそれはヘッド用のスイッチである。
長くなるので、Part2へ続く。